【セルフ・コンパッション】日常的に取り組む 自分への思いやりを育てる方法

セルフ・コンパッションの2回目となります。

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セルフ・コンパッションは、「自分を甘やかすのではないか」「弱くなるのではないか」と誤解されがちです。

しかし、実際は、自分のネガティブな気持ちをしっかりと感じ自分に必要な行動を考える

とても勇気ある態度といえます

このコラムを読むと、自分への思いやりを育てる方法を知ることができます。

内容が理解しやすいように、理論的背景を省略しています。
詳しく学びたい方は、最後に紹介している書籍を参照願います。

このコラムは約3分で読めます。

目次

1 イメージで実験

次の職員室の状況を、イメージしてください。

(状況)管理職が、ある先生に対して、声を荒げています。

「先生、しっかりしてください」
「こんなこともできないんですか!?」
「同じ失敗を、何度するんですか!?」
「だから、何が問題かよく考えてください」

(状況)
管理職が ある先生に対して
声を荒げています

「先生、しっかりしてください」
「こんなこともできないんですか!?」
「同じ失敗を、何度するんですか!?」
「だから、何が問題かよく考えてください」

・・・

「ありえない。ハラスメントでしょ!」と思われますか?

「こんな管理職の下で、働きたくない」と思われますか?

「こんなことを言ったら、ますます上手くいかなくなる」と思われますか?

では、質問です。

(質問)同じようなダメ出しを、自分自身に行なっていることはありませんか?

「あ〜、しっかりしなきゃ」
「私はこんなこともできないの!?」
「自分は何度、同じ失敗をしてるんだ!」
「何が問題か、よく考えなきゃダメだ」

(質問)
同じようなダメ出しを
自分自身に
行なっていることはありませんか?

「あ〜、しっかりしなきゃ」
「私はこんなこともできないの!?」
「自分は何度、同じ失敗をしてるんだ!」
「何が問題か、よく考えなきゃダメだ」

・・・

多くの人が、何かに失敗したり、後悔したりするとき、

先ほどの管理職と同じような言葉を、自分に向けています

私たちの多くは、自分でも驚くほど、自分自身に対して厳しい言葉をかけています

2 酸素マスクは自分から

「児童生徒への対応が忙しくて、自分のことを考える余裕なんて無い

という声が聞こえてきそうです。

確かに、困っている児童生徒が目の前にいると、自分よりも優先順位が高くなることがあります。

ただ、それは一時的なもので、長く対応するのは難しいかもしれません

原則は「自分を大切にしている人が、他者を大切にできる」です。

飛行機に搭乗したとき、

離陸前に、キャビンアテンダントの方が安全上の注意をしてくれます。

「酸素マスクが天井から降りてきたら、ご自身に酸素マスクをつけてください」

必ずご自身に酸素マスクをつけたあと、こどもたちや周りの人々の酸素マスクをつけるお手伝いをしてください」

「JAL 安全のしおり」より https://www.jal.co.jp/info/2020/other/200330/pdf_sites/787_9B_0330.pdf

これには理由があり、30秒以内にマスクをつけなければ、自分が気を失います。

そうなったら、他者を助けるどころではありません

セルフ・コンパッションも、同じです

自分の安全・安心が確保できたとき、きっと、あなたは児童生徒への対応に集中できます

どうか、自分への思いやりを後回しにしないでください

3 イメージで実験

ちょっとした実験です。次の問いにお答えください。

(問い)
あなたは、この犬にどんな
優しい言葉をかけますか?

・・・

実際に2〜3個、言葉をかけてみてください

・・・

例えば

「疲れるよね」
「いろいろあるよね」
「よくやっているよ」

「お腹すいているの?」
「何か食べる?」
「具合が悪いの?」

「さみしいのかな」
「こっちの膝の上に乗ってみる?」
「私はここにいるよ」

「何か心配事でもあるの?」
「話を聞こうか?」
「ゆっくり休んでね」 など

どのような言葉でも構いません

言葉は見つかりましたか?

では、この実験の仮説を発表します。

もしかしたら、その言葉は
「自分がかけてもらいたい言葉」
かもしれません

試しに、自分自身に同じ言葉をかけてみてください。

・・・

どんな気持ちになりますか?

あまり、しっくりこないでしょうか?

では、別の言葉だったら、あなたは今、どんな言葉をかけてもらいたいですか?

・・・

例えば

「ほんと、忙しいよね」
「嫌なことがたくさんあるね」
「疲れるねー」

「よくがんばっているよ」
「いい先生だよ」
「学校を支えているよ」

「ありがとう」
「そういうときもあるよ」
「ちょっと、がんばりすぎだよ」

「安心していいよ」
「そのままでいいよ」
「大切に思っているよ」 など

 今の自分にとって
「必要な言葉」を見つけて

自分に伝えてみてください

4 セルフ・コンパッションを高めるために(ワーク)

ワークを2つご紹介します。

(1)スージング・タッチ

人を思いやる方法は、言葉に限りません。

その1つが スージング(落ち着かせる)タッチ(触れる) です。

温かみをもって、優しく、自分の手で自分の身体を触れることで、

自分を安心させ、落ち着かせることができます。

<準備>

  • 他者の視線を気にしなくてよい、静かな場所で実施してください。
  • 目を閉じる時間を作ることで、自分の感覚に集中できます。

<やり方>

  • 2、3回ゆっくりとした呼吸をします。
  • 片手を心臓のあたりに、そっと当てます。

    両手でも構いません。

    手のひらの暖かさが伝わってきます。

    呼吸のたびに、胸が動くのを感じます。

    目を閉じて、温かい感覚を味わってみましょう。

    手のひらから優しい気持ちを、自分に伝えてみましょう。
  • 自分が触れられると 優しさ感じる場所や触れ方 を探してみます。

    例えば

    片手をお腹に、片手を胸に

    片手で、もう一方の腕を優しく包み込む

    両腕で、身体を包み込む

    両手で、頬を包み込む
  • 2、3回ゆっくりとした呼吸をして、終了です。

いろいろやってみて、自分が心から安心できるやり方を見つけてみてください。

(2)大切な人への思いやり(イメージのワーク)

他者にコンパッションを向ける他者からのコンパッションを受け取る のワークです。

自分自身にコンパッションを向ける(セルフ・コンパション)より、手軽に実施できます

<準備>

  • 他者の視線を気にしなくてよい、静かな場所で実施してください。
  • 椅子の背もたれを使わず、姿勢を良くして、力を抜いてください。
  • あなたにとって、「大切な人」を1人、思い浮かべてください

    あなたを理解してくれて、優しくて、思いやりのある人です

    はじめは、家族や亡くなった人は避けて、友人、同僚、恩師などが実施しやすいと思います。

    動物、アニメのキャラクター、推し でもよいと思います。

<やり方>

  • 2、3回ゆっくりとした呼吸をします。
  • 先ほど思い浮かべた人が、近くにいるとイメージしてください。

    目の前にいるかもしれません。

    横にいるかもしれません。
  • その人と一緒にいるとき、どんな気持ちになるか感じてみましょう。

    目を閉じると、自分の感覚に集中できると思います。
  • 心の中で、その人に、次の言葉を伝えてみましょう(フレーズは自由に変えて構いません)。

    「あなたが健康でありますように」

    「あなたの心が穏やかでありますように」

    「あなたの幸せな時間が増えますように」

    他にも、伝えたい言葉があれば、伝えてみてください。
  • その人から自分に、次の言葉を言ってくれていると想像しましょう。

    「あなたが健康でありますように」

    「あなたの心が穏やかでありますように」

    「あなたの幸せな時間が増えますように」

    他にも、何かを言ってくれるかもしれません。想像してみてください。
  • 2、3回ゆっくりとした呼吸をして、終了です。

ワーク中に、不快な感じがする方へ

人によっては、自分に優しさを向けると、心がザワザワする場合があります。

それは、自分に優しくできなかった過去の苦い体験が浮かび上がってくるもので、「バックドラフト」と呼ばれています。

例えば、冷たい手を急に温めると、手がジーンとしびれるように、不快な感じが出てきます。

このようなときは、ひとまず、ワークをひと休みして、ゆっくりと深呼吸してみてください。

少しずつ自分へ思いやりを向けていきましょう。

まとめ

  • 私たちの多くは、自分でも驚くほど、自分自身に対して厳しい言葉をかけている
  • 自分を大切にしている人(セルフ・コンパッションの高い人)が、他者を大切にできる
  • セルフ・コンパッションを高めるワークとして、「スージング・タッチ」「イメージのワーク」を試してください

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関連書籍のご案内
自分を思いやる練習―ストレスに強くなり、やさしさに包まれる習慣― 朝日新聞出版 有光興紀
セルフ・コンパッションのやさしい実践ワークブック 星和書店 ティム・デズモンド
自分自身にやさしくすれば悩みの出口が見えてくる―マインドフルネスと心理療法ACTで人生のどん底からはい上がる― 筑摩書房 ラス・ハリス

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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