学校現場が頭を痛めている「保護者連携」について、シリーズでお伝えしています。
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第2回は、「怒り」の感情の特徴と、保護者が怒る理由をお伝えします。
このコラムを読むと、保護者から「信頼できる先生」と思ってもらえるようになります。
内容が理解しやすいように、理論的背景を省略しています。
詳しく学びたい方は、最後に紹介している書籍を参照願います。
このコラムは約3分で読めます。
1 人が怒りを感じるとき
保護者とのトラブルを予防するためには、「怒り」の感情の特徴について理解することが重要です。
怒りの感情とは
あらゆる感情には、役割があります。
怒りの役割は、
自分が「被害」に遭っていること
を教えてくれる
例えば
例1 足を踏まれた、傘をぶつけられた
→ 物理的な被害
例2 児童生徒から提出物が出されない、協力的でない同僚
→ 労力としての被害
例3 児童生徒からの反抗的な発言、学級の荒れ
→ 評価としての被害
怒りの感情が出ると、「被害」に気づくことができ、状況を改善するためのエネルギーが沸いてきます。
怒りは、(不快なものではありますが)自分を守るために必要な感情です。
怒りが消えないのはなぜか?
足を踏まれたあと、足の痛みが無くなっても、怒りが消えない。
予定外の業務が終わり、家に帰っても、怒りが消えない。
すでに「被害」は、その場から無くなったのに・・・
それは、どうしてでしょうか?
自分という「人格」が被害に遭ったと思うから
例えば、足を踏まれたとき、
物理的な被害だけでなく、自分という「人格」が被害に遭っていると思うことがあります。
足の痛みが無くなっても、心の痛みがありますので、怒りは消えません。
すぐに相手から「すみません」と謝られたら、
自分という「人格」が被害に遭ったわけではないと分かるので、怒りはおさまります。
逆に、相手が「何が悪いの」という態度だったとき、さらに怒りは激しくなります。
「人格」が被害に遭ったと思うときも
怒りの感情は湧いてくる
2 保護者が学校に怒るとき
不当な要求を出す理由
怒った保護者から、さまざまな要望を受けることがあります。
その中には、学校ではどうにもできない要求が含まれることがあります。
学校は、「どうして、そんな不当な要求をするんだろう?」と疑問に思うかもしれません。
多くの場合、
保護者も、不当な要求をしていることは分かっています。
それでも要求するのは、
「こっちはそれぐらい苦しんでいるんです」
「事の重大さに気づいてください」
「保護者をなめるな」など
背景に、別の気持ちがある場合が多いようです。
つまり、根底にあるのは、
私たちはもっと大切にされていいはずなのに
大切にされていない
大切にされていないから、
不当な要求を出したり、強い言葉で学校を批判したりして、
もっと大切にしてほしいと伝えていると考えられます。
保護者は、学校から大切にされないから
「人格」の被害にあったと思い、怒りを感じる
学校から大切されていない
このコラムの初回と、同じキーワードに戻りました。
信頼関係を築くには、「学校から大切にされている」という感覚
保護者が怒るときは、「学校から大切にされていない」という感覚
本質的なことは、いつもシンプルです。
初期対応で、学校が適切に対応すれば、
私たちは「学校から大切にされている」と分かるので、怒りがおさまることと思います。
逆に、ネガティブな事象が起きて、児童生徒が苦しんでいるのに、
「学校から大切にされていない」対応が続けば、
「人格」の被害に遭ったと思うのも、人間として自然なことのように思います。
次は、具体的なNG対応について説明します。
3 保護者が怒る「学校のNG対応」
保護者からの相談が多い、典型的な3つのケースです。
(1)待っているのに、学校から連絡が来ない
無視されることに、人は敏感に反応します。
例えば
- (児童生徒または保護者から)相談をしたのに、学校から連絡が来ない
- 先生から「また、ご連絡します」と言われて、ずっと待っている
- いじめが起きて「対応します」と言われたのに、その後の数日間、何も連絡がない
待つのは、つらいものです。
「忘れられている?」
「それぐらい小さなこと?」
「軽く扱われている?」
「そもそも管理職に伝わっている?」など
保護者は、様々なことを考えます。
しばらく連絡が来ない = 大切にされていない
しばらく連絡が来ない
= 大切にされていない
(2)先生の対応が事務的で冷たい
不安なときに、冷たく対応されるのはつらいものです。
例えば
- 担当の先生が、表情を変えず、冷たい態度だった
- 対応した先生が、何度も時計を見たり、ため息をついたりした
- 真剣に相談しているのに、苦笑する先生がいた
保護者は、先生の態度(非言語)をよく見ています。
「上から見られている」
「保護者をバカにしている」
「こどもが苦しんでいるのに」
「こんな先生のいる学校に通わせたくない」など
まさに、「人格」が被害にあった状態です。
事務的で冷たい態度 = 大切にされていない
事務的で冷たい態度
= 大切にされていない
(3)学校がなかなか対応してくれない
信じたのに対応してもらえないと、だまされたような感覚になります。
例えば
- 先生は「お子様を必ず守ります」と言うけど、何もしてくれない
- どうやって状況を改善するのか、学校の考えが全く示されない
- 保護者から対応策を提案したのに、学校は実施しない
信頼を失うと、言葉も信用できなくなります。
「いったい何をしているんだ」
「何もする気がないのか」
「児童生徒一人くらいと思っているのかも」
「放っておく気なのか」など
学校に言っても無駄だと失望します。
対応してくれない = 大切にされていない
対応してくれない
= 大切にされていない
4 怒りの炎は大きくなるほど、消すのが難しい
振り上げた拳をおろすのは、難しいものです。
加えて、自分の「被害」を相手が認めないときは、
自分の怒りの強さこそが、相手の「加害」の大きさを証明するもの
であるように結びつく場合があります。
そして、怒るのをやめると、相手の「罪」がうやむやにされるように感じて、
「怒りを手放せない」という心理が働きます。
これらのことから、
怒りは大きくなれば大きくなるほど
おさめるのが難しい
保護者の怒りも、同じです。
時間が経つほどに、怒りが大きくなり、関係の修復が難しくなり、
対応は困難になっていきます。
学校への怒りがおさめられず、傷ついている保護者がたくさんいます。
保護者からの言葉に傷つき、休まざるを得ない教職員がたくさんいます。
どうか、怒りの炎が大きくなる前に、対応していただけたらと思います。
まとめ
- 保護者は「学校から大切にされていない」と思ったときに怒りを感じる
- NG対応は、
「1 待っているのに、学校から連絡が来ない」
「2 先生の対応が事務的で冷たい」
「3 学校がなかなか対応してくれない」 - 怒りは、大きくなれば大きくなるほど、おさめるのが難しいので、早期対応が重要である
- 次回は、トラブルの未然防止(具体的な対応について)です
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