なぜか!?っていうぐらい簡単なことで、話を聴くのが上手くなれたら、嬉しいですよね。
学校の先生に合わせた「傾聴のコツ」を、5つご紹介します。
このコラムを読むと、「聴き上手な先生」にまた一歩、近づくことができます。
内容が理解しやすいように、理論的背景を省略しています。
詳しく学びたい方は、最後に紹介している書籍を参照願います。
このコラムは約3分で読めます。
1 ゆっくりとうなずく
ゆっくりうなずくと、自然と、うなずきが大きく、深くなります。
これだけで、しっかりと聞いていることが、相手に伝わります。
そして、落ち着いた雰囲気をつくることができます。
雰囲気は大切です。相手が心地よい気持ちで、話せます。
学校の先生方は、全体的に動きが速い印象があります。
それぐらい忙しく、どんどん仕事をこなさないと、終わらない感じです。
そのため、うなずきも「速く、小さく、浅く」なってしまいがちです。
「速く、小さく、浅く」なると、「はいはい」「知ってます」「次を話して」など
表面的な理解や、話を急かされている印象になります。
例えば、こんなシーンがあります。
駅のホーム、寝台列車のドアが開いた。
私は、大きな鞄を肩にかけて、一歩進み、
振り返って、母親に目を向けると、
母親は、穏やかな表情で、ゆっくりとうなずいた。
もし、このうなずきが速かったら、思いやプレッシャーが強すぎませんか?
ゆっくりとしたうなずきには、優しさと落ち着いた雰囲気があります。
うなずきは
「ゆっくり、大きく、深く」
2 返答を少し遅らせる
相手の話を聞いて、「・・・」を挟んでから返答します。
返答を少し遅らせると、会話のリズムに「ため」が作れます。
気まずくならないくらいの「間」です。
その時間を使って、相手からの言葉を頭の中で繰り返したり、
相手の気持ちについて考えたり、相手の表情等を見たりすることができます。
そして、こちらの次の対応について、
確認しようか、質問しようか、もう少し待とうかと、余裕をもって考えることもできます。
つまり、こちらの対応に、余裕ができます。
そのようなことを考えていると、こちらが返答する前に、相手が話を続けることが多く、
相手もその時間を使って考えていることが分かります。
言葉だけでなく、あいづち(「はい」「えぇ」など)も、少し遅らせるのがお薦めです。
特に、相談の場面で、あいづちを少し遅らせると、相手は話しやすくなります。
ゆっくりとうなずきながら、「・・・」を挟んでください。
ただし、電話(音声のみ)は、
あいづちを遅らせると、聞いているか分からなくなるので、ご注意ください。
「ため」をつくると、対応に余裕ができる
「ため」をつくると
対応に余裕ができる
3 「〇〇なんですね」「〇〇なんだね」と返す
〇〇に入る内容は、相手の感情や状態です。
これだけで、共感に近づきます。
例えば
例1「不安な気持ちなんですね」
例2「今は休みたい気持ちなんですね」
例3「やる気が出なくて、困っているんだね」
「〇〇なんですね」「〇〇なんだね」と言うためには、
相手の話を集中して聴く必要があります。
そのため、自然と「傾聴」になります。
上手くなると、
〇〇の内容に、相手にとっての出来事 + 感情・状態が入ります。
例えば
例1「嫌なことを言われて、腹が立っているんだね」
例2「友だちとクラスが分かれて、寂しいんだね」
例3「何が理由か分からないけど、死にたいほどつらい気持ちなんですね」
これに対して、相手が「そうなんです!」と感情を込めて返事したら、
相手からの信頼度が高まっているサインです。
そうではなく、相手が「というより、〇〇」と修正してくれたら、
「〇〇なんですね」と、そのままの言葉を繰り返します。
そうすると、相手が「そうなんです!」と言ってくれるかもしれません。
〇〇の中身を考えることが
集中して聴くことにつながる
4 「もう少し教えて」と言う
この言葉だけで、詳しい情報を引き出すことができます。
相手の話に興味があることも、伝えることができます。
例えば
例1
最近、家が大変だったので、ちょっと疲れて、授業でも眠くなっちゃって
・・・
大変だったのね・・・
よかったら、家のことについて、もう少し教えて
どのくらい疲れているのか、家のことを詳しく聞かないと、分からないですよね。
例2
学校では、本当の自分を見せることができなくて
いつも演じているんです
・・・
よかったら、「本当の自分」について、もう少し教えて
「本当の自分」が何なのか詳しく聞かないと、悩んでいることが分からないですよね。
この「分からない」が、大切です。
分からないことを「教えて」と言うのは、「分かりたい」というメッセージです。
「分かりたい人」が目の前にいることの充実感は、学校の先生が一番知っていると思います。
簡単に、分かったと思わない
(無知のスタンス)
「無知のスタンス」については、こちら
↓ ↓ ↓
5 肯定的なメッセージを送る
一般的な「傾聴」の方法には、出てこない内容です。
でも、これが学校の先生に合った傾聴のコツです。
「傾聴」で大切なことは、相手が「もっと話したい」と思うことです。
うなずきも、あいづちも、そのためにあると言っても、言い過ぎではありません。
肯定的なメッセージも、相手の「もっと話したい」を増やすことができます。
例えば
例1
友だちと笑っていたら、あいつがいきなり注意してきて、
そういうのに、ムカついて
・・・
その時の気持ちをよく言葉にできているね
例2
ネットの友だちから、突然ブロックされて、
昨日の夜は眠れなくて
・・・
ショックなことがあったのに、頑張って学校に来たんだね
どちらの例も、児童生徒の発言に対して、すぐに指導・助言を入れたくなるケースかもしれません。
それを我慢して、肯定的なメッセージ(認める、ねぎらう、感謝する)を送ると、
児童生徒は安心して、もっと話したいと思います。
ちなみに、指導・助言は、最後まで取っておくのがお薦めです。
肯定的なメッセージによって、先生の発言に対する児童生徒の耳が開いたところで、
指導・助言を伝えた方が効果的だからです。
ただし、次は相手の発言を否定しているので、NG対応です。
NGとなる肯定的メッセージ
私は運動も勉強も上手くできなくて、
何をやってもダメなんです
運動も勉強もそんなにダメじゃないよ
発言を否定されると、話したくなくなります。
傾聴のコツのなかには、
「話を聴くためには、指導しない」
「話を聴くためには、評価(良い・悪いの判断)しない」
という解説があり、それはその通りで、本当に正しいのですが、
これらはカウンセラー等だからできることで、
学校の先生に求めるのは、厳しいと思うことがあります。
もちろん上手な先生もいますが、全体の数パーセントですよね。
指導や評価をする関係性はそのままで、肯定的なメッセージを送る方が、
先生が取り組みやすく、傾聴に近づく・・・
まさに、コツです。
なにより、普段から一緒にいる先生から、肯定的なメッセージをもらえるのは、嬉しいものです。
これは、カウンセラーにはできません。
まとめ
- 非言語のコツは、ゆっくりとうなずいて、「・・・」を挟んでから返答する
- 言語のコツは、「〇〇なんですね」「〇〇なんだね」「もう少し教えて」と言う
- そして、児童生徒に肯定的なメッセージを送ることが、「学校の先生に合った傾聴のコツ」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!