【質問の心得】オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンを使いこなす

オープン・クエスチョンは、児童生徒からの聴き取り場面で、使用が勧められています。

生徒指導提要(第6章 少年非行 6.3.1 正確な事実の特定)p.161〜162

では、クローズド・クエスチョンは、どのような場面で使用するのでしょうか?

2種類の質問法を使い分けると、コミュニケーションが大きく変わります。

内容が理解しやすいように、理論的背景を省略しています。
詳しく学びたい方は、最後に紹介している書籍を参照願います。

このコラムは約3分で読めます。

目次

1 2種類の質問法

大きく分けて2種類の質問法があります。

質問法特徴
クローズド・クエスチョン(閉ざされた質問)質問に対して、ひと言で答えられる
例「授業の内容が理解できましたか?」
オープン・クエスチョン(開かれた質問)質問に対して、ひと言で答えられない
例「授業で考えたことは、何ですか?」
質問法特徴
クローズド・クエスチョン
(閉ざされた質問)
質問に対して、ひと言で答えられる

例「授業の内容が理解できましたか?」
オープン・クエスチョン
(開かれた質問)
質問に対して、ひと言で答えられない

例「授業で考えたことは、何ですか?」

英語では、

クローズド・クエスチョンは “Do you 〜?”

オープン・クエスチョン5W1Hを使って、”What do you 〜?”、”How did you 〜?”

となります。

ただ、5W1Hを使っても、

悪口を言われたのは、いつですか?」「それを言ったのは、誰ですか?」など

ひと言で答えられるものは、クローズド・クエスチョンです。

2 クローズド・クエスチョン(閉ざされた質問)

「はい」「いいえ」「〇〇です」など、ひと言で答えられる質問法です

例えば

例1「黒板の文字が見えますか?」
(はい、いいえ)

例2「運動会と文化祭は、どっちが好きですか?」
(運動会、文化祭)

例3「どの部活動に所属していますか?」
(部活動名、所属していません)

つまり、回答に選択肢がある質問法です。

特徴は

答え方が明確なため、心理的負担が少ない

話しはじめなど、相手に不安・緊張がある場面で、有効です。

うなずいてもらうだけで、やり取りできます。

こちらにとって、欲しい情報を得やすい

不明な点を明確にしようとする場面で、有効です。

得られる情報が少ない(質問を重ねることになる)

クローズド・クエスチョンを重ねると、相手も自分も苦しくなります。

3 オープン・クエスチョン(開かれた質問)

ひと言で答えるのが難しい質問法です

例えば

例1「最近の調子は、どうですか?」

例2「何があったのですか?」

例3「それを聞いて、どう思いましたか?」

つまり、回答に選択肢がない質問法(自由記述)です。

特徴は

多くの情報を、引き出すことができる

ひと言では回答できないため、必然的に多くの情報がやりとりされます。

自己表現を促せる

回答の中に、相手の思考や感情などが表現されます。

話題が広げられる

相手の主体的な会話を促せるので、相手に合わせて、話題が広げられます。

4 2種類の質問を使いこなす

場面、順番を意識して使うことが大切です。

(1)場に慣れるためのクローズド・クエスチョン

例えば、不登校傾向の児童生徒と面談するときは、

緊張をほぐしてから、徐々に本音を引き出そうとする工夫が必要です。

そこで大切なのは、

まず、2〜3個のクローズド・クエスチョンを入れて簡単なやりとりをすることです。

野球のキャッチボールや、サッカーやバスケ等のパス練習では、

短い距離から始めて、徐々に距離を伸ばしていくと思います

それは、簡単で負担が少ないところから始めて、体を温めるためです。

質問も、簡単で負担の少ないところから始めて、心を温めていきます

クローズド・クエスチョンは、回答方法がわかりやすいので、安心して答えられます

例えば

「部屋は寒くないですか?」
(はい、いいえ)

「今日は、おうちの人に送ってもらったの?」
(はい、いいえ)

「そのカバンに付けてるぬいぐるみ、かわいいね。何というキャラクター?」
(キャラクター名、わからない)

この時間で、児童生徒は場所や雰囲気に慣れていきます

不安・緊張がある場面は
2〜3個のクローズド・クエスチョンから始める

(2)傾聴にはオープン・クエスチョン

オープン・クエスチョンは、相手が会話の中心になる質問法です。

具体的には、

  • 相手が話す/こちらが聴くを、増やすことができる
  • 相手に会話の主導権を渡し相手が話したいことを聴くことができる
  • 相手は、自身の思考や感情などを表現することができる
    それは「はい/いいえ」では答えられない気持ちであることが多い

すべて傾聴に欠かせない要素です。

オープン・クエスチョンによって、傾聴は実現できます。

また、オープン・クエスチョンには、

相手が自身の考えを整理したり物事を捉え直したりする効果がありますが、

それは、次回のコラム「ソクラテス式質問法」でご説明します

相手が会話の中心になるためには
オープン・クエスチョン

(3)ASDのある児童生徒が苦手とする質問

ASD(自閉スペクトラム症)のある児童生徒は、

抽象的なもの、はっきりしないものを苦手とする傾向があります

そのため、

最近、学校はどう?

新しい学級は、どうだった?

このような抽象的な質問を、苦手としている場合があります

そもそも、抽象的な質問は、答えるのが難しいものです。

例えば、

あなたは学級担任という設定で、次のように質問される場面と想像してください。

  • 校長からの「最近、学級はどんな感じですか?」
  • 学年主任からの「最近、学級はどんな感じですか?」
  • 養護教諭からの「最近、学級はどんな感じですか?」

相手によって、返答する内容が変わりませんか?

それは、相手や文脈という複数の情報から

「空気(期待されている行動)」を読み取って、返答しているからです

ASDのある児童生徒は、たくさんの情報の同時処理を苦手とする傾向があるため

「空気(期待されている行動)」を読み取れず、困ってしまうことがあります。

ASDのある児童生徒には
5W1Hで
はっきりと質問する

(4)クローズド→オープンの順番

相手が話しやすい質問の順番があります。

例えば

例1:クローズドオープンオープン

先生

音楽は聴きますか?
(クローズド・クエスチョン)

児童生徒

はい、聴きます

先生

どんな音楽を聴きますか?
(オープン・クエスチョン)

児童生徒

結構、昔の音楽を聴いたりします

先生

昔の音楽って、たとえば?
(オープン・クエスチョン)

例2:クローズドクローズドオープン

先生

冬休みは、楽しみ?
(クローズド・クエスチョン)

児童生徒

はい

先生

2週間ぐらいだよね。
短く感じる?長く感じる?
(クローズド・クエスチョン)

児童生徒

短いです

先生

そう〜。何して過ごすの?
(オープン・クエスチョン)

児童生徒向けのアンケートと同じです。

選択肢の質問があって、そのあとに、自由記述の質問があると、

心の準備ができて、答えやすくなります

アンケート用紙と同じ順番
「選択肢」→「自由記述」

この「クローズドオープンの順番」で質問できる支援ツールが、

当Webサイトの「教育相談 指さしシート」です。

指さしシートの活用例

先生

この中に、〇〇さんの気持ちやここ最近の状況に近いものはありますか?
(クローズド・クエスチョン)

児童生徒

これです
(指さしする)

先生

「登校がつらい」のね。
いつ頃から、つらいの?
(クローズド・クエスチョン)

児童生徒

1か月前ぐらいから

先生

そうだったのね。
何かあったの?
(オープン・クエスチョン)

よろしければ、個別面談にて御活用ください。

「教育相談 指さしシート 通常時の面談バージョン」はこちら
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まとめ

  • 不安・緊張がある場面では、負担の少ないクローズド・クエスチョン
  • 十分に話を聴くためには、自由度の高いオープン・クエスチョン
  • ASDのある児童生徒への、抽象度の高いオープン・クエスチョンに注意
  • クローズドオープンの順番だと、答えやすい

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